はじめに
この記事では、ヨーロッパ留学に関してコストと体験の観点から見たメリットと私の経験からお勧めしたい理由を紹介します。
留学は、新たな視野を開き、文化的洞察を深める絶好の機会です。特に、フランス、ドイツ、スイスといったヨーロッパの国々は高い教育水準でありながら低い学費で学べることが魅力で、海外からも多くの学生が来て学んでいます。私自身もフランスに留学した経験がありますので、その体験を踏まえながら、ヨーロッパ留学の魅力をご紹介したいと思います。
学費と生活費の比較:世界的な名門大学で低コストで学ぶ
日本の国立大学の年間学費は約50万円から80万円で、私立大学では約100万円から150万円が一般的な金額です。一方、アメリカの大学費用は一段と高く、公立大学の場合でも州外からの学生は年間20,000ドル(約280万円)以上、私立大学では30,000ドル(約420万円)から70,000(約970万円)ドルといった額が一般的です。
比較すると、ヨーロッパのフランスやドイツの公立大学の学費は非常に低く、フランスではEU圏外からの学生(日本人学生を含む)に対しては、年間学費は約3,000-4,000ユーロ(約45-60万円)であり、ドイツの公立大学はほとんどの州で授業料が無料で、日本人学生に対しても同様です。ドイツでは各学期に「学生会費」(通常、交通費や食事費、図書館利用費などをカバーするための費用)を支払う必要がありますが、この費用は一般的に200ユーロから350ユーロ程度となります。スイスでも公立大学は年間1,000-2,000CHF(約15-30万円)と手頃であり、その教育の質は世界的に認められています。
例えば、”THE世界大学ランキング2023″によると、フランスのソルボンヌ大学が含まれれるPSL研究大学(Université PSL, 47位)、ドイツのミュンヘン工科大学(TUM, 30位)、スイスのETHチューリッヒ(ETHZ, 11位)などは常に世界のトップ大学として上位にランクインしています。ランキングにおいてアメリカのハーバード大学、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)などは上位に位置していますが、これらの米国の名門私立大学の学費は年間50,000ドル(約700万円)以上と高額です。
留学生の日常生活と住宅補助
ヨーロッパの国々では海外からの留学生に対しても様々な社会保障を提供しています。特にフランスでは、「Aides personnelles au logement(APL)」という住宅補助の制度があり、6ヶ月以上の長期留学の学生であればフランス政府からの補助金を申請することが可能です。この補助金の金額は学生の年齢や収入、家族状況などにより異なりますが、私が留学していた際は月額600ユーロ程度の部屋の家賃を支払う場合、補助金は約200ユーロ程度受け取ることができました。ですので実質400ユーロの支払いで住むことができます。
他にも、フランスのCROUS(Centre Régional des Oeuvres Universitaires et Scolaires)という学生のための地域組織は、学生向けのサービスを提供しています。例えば、パリ市内のCROUS学生食堂では学生証の提示で一食3,20ユーロという非常に低い価格で食事ができます。パリの一般的なレストランやビストロ(食堂)のランチが15-20ユーロ程度することを考えると、学生食堂を利用することで多くの節約ができます。
またパリでは、学生向けの公共交通機関の年間パスを提供しており、通常の料金よりも大幅に安く電車やバスを利用することができます。例えば、学生向けのイマジネール(Imagine R)カードを利用すると、イル=ド=フランス地域全体で公共交通機関を無制限に利用することができ、年間で350ユーロ(5万円程度)のみです。
これらの制度を活用して、学生は新たな文化や人々との交流を楽しむことが可能となり、学費を抑えつつ質の高い教育を受けることができます。
留学のプロセスと語学の準備
留学に向けた手続きは一見すると複雑に見えるかもしれませんが、現在、多くの大学では一部の手続きをオンラインで済ませることが可能です。始めに、応募したい大学のウェブサイトを訪れ、留学生向けのセクションを見つけてください。ここに出願の要件や締め切り日などの重要な情報が詳細に記載されています。
大学や学部により、語学能力を証明するための試験が要求されることがあります。英語で学ぶ場合はTOEFLやIELTS、フランス語で学ぶ場合はDELFやDALFなどの試験を受けることが求められるかもしれません。これらの試験を早めに受け、成績証明書を提出する準備をしておくことが大切です。
出典: 日本フランス語試験管理センター
また、留学する国の言語に慣れることは留学生活をより楽しむためにも重要です。フランスやドイツなどのヨーロッパの国に留学する場合、英語で学べるコースでも現地の言語を少なくともB1レベルまで習得することをお勧めします。現地の書類はほとんど現地の言葉のみで書かれていることが多く、生活を始めて慣れるためには現地の言葉を使いこなすことが重要です。新しい言語を学ぶのは難しいかもしれませんが、オンラインの言語学習プラットフォームや語学学校などを活用し、日本でも必要な語学力を身につけることは十分に可能です。
もし現地の言語習得に自信がない場合でも、現在、多くの大学では、全ての授業が英語で行われるコースが設けられています。このようなコースを選択すれば、英語の習得のみでもヨーロッパで問題なく留学を楽しむことができます。
まとめ
ヨーロッパ留学という選択肢は、その質の高さと経済的なメリットから優れた価値を提供します。世界に誇る一流大学が各国に存在し、これらの大学で学ぶことは、あなたのキャリア形成にプラスに働くでしょう。
またヨーロッパの国々では、日本やアメリカと異なり、生活費や学費の補助制度が充実しています。このため、高い教育水準を維持しながらも、費用面での負担を軽減することが可能です。さらに、英語以外の新しい言語や文化に触れることで、国際的視野を広げ、留学生活を豊かなものにする機会が広がります。
確かに、フランス語やドイツ語などの新しい言語の習得は時間がかかるかもしれませんが、きちんとした準備と努力を経て、その挑戦を乗り越えることで、ヨーロッパでの留学生活は間違いなく充実したものになるでしょう。そのため、フランス留学を経験した私はコストと体験の観点からヨーロッパへの留学を日本人へ強くお勧めします。
また具体的な留学中のエピソードや暮らしの興味深い出来事などは今後記事にしていきますので、お楽しみに。